ARTIST IN RESIDENCE

大谷俊一「奥津プラン2014/ヲクツポイント」

東京都在住の美術作家大谷俊一が鏡野町奥津地区に8月から滞在し、そこで感じる自身の体験と地域を構成する景観、建物、風習、人々の記憶や記録などから歴史や文化を読み解き、目立つことなく埋もれていた特質を物語る場所を、新たに「ヲクツポイント」と位置付け、その存在を呼び覚ます行為を作品として提示した。

また、貴重な資料展示やプロジェクトに併せて老舗温泉旅館の特別入浴パスを作り、湯巡り体験を実施。他に、地域住民などが企画した「おくつさんぽ」事業や「廣岡邸カフェ」などの連携した取り組みも行った。(入場者2,460名)

協力:ヲクツポイント設置場所、おくつさんぽ実行委員会、かがみのツーリズム研究会、花美人の里、鏡野町商工会、国土交通省苫田ダム管理所、作州かがみの森林組合、岡山県立津山東高等学校、LEVARDA、米屋倶楽部奥津、有元商店、お食事処ちゃのみ、次田屋、ことぶき荘、みやま荘、山崎写真館、秋成知道、安藤辰正、石原善昭、多胡昭夫、武本学、田中靖二、福原謙治、水田善二郎  ほか

アーティスト・イン・レジデンス

ヲクツポイント

H26.11.1(土) 〜 30(日) *会期を限定した箇所あり

奥津温泉街を中心とした地域から様々な場所を訪れ、関わりの中から生まれる感覚やファクト、そして人々の暮らしを支えてきた現存する奥津の実在20か所を探り当て「ヲクツポイント」として選び「ヲ」をシンボルマークとした木製フラッグ(1347年、地名奥津を初めて表す古文書の記述“ヲクツ”から「ヲ」を表象として制作)を設置し、その数か所には場所の特質を表現するための仕掛けや装置を制作した。来場者が「ヲクツポイント」を巡ることで、残された日常の道具や施設、何気ない風景から異なった発見があると同時に、奥津地区の本質を再認識することができる。また、住民にとっては、日々日常の見え方や動きの新たな展開が起きることで現状の感覚が変化する契機となり、地域が本来持っている魅力をあらためて見直す活動の原点になる。

使用素材:木材(杉など),アクリル絵の具,日常の歴史写真,
     資料(道具・日用品),プロジェクター,音響機材,電球,その他

 

ヲクツポイント /旧奥津町エリア20か所

1.旧明王寺(不動堂 / 鏡野町有形文化財弁財天像所蔵)
2.奥津神社 3.農家民宿ひいらぎ(長藤地区の景観)
4.安来製鋼所奥津分工場跡
(大正8年[1919]〜14年[1925] / 金屎[たたら製鉄などでは「のろ」と呼ばれる]を
 精錬していたが第一次世界大戦の終結に伴ない鉄の需要が落ち込み閉鎖)
5.寶樹寺 6.廣岡邸 7.旧牛市場 8.湯の坂 9.美湯神社本殿跡(旧河鹿園中庭) 10.旧武本名産店(インフォメーション)
11.東和楼 12.旧町民風呂 13.奥津荘 14.旧ふくや 15.奥津温泉郵便局 
16.奥津渓西側遊歩道 17.鏡野町文化資源保存伝習館(フラッグ制作)18.七色樫 19.鏡野町商工会奥津支所(旧奥津町商工会館 / 旧津山東高等学校苫田分校資料展示)
20.苫田ダム転流工(ダム工事の際に川の水を迂回させるために造られた施設)

おくつさんぽトークセッション
「奥津いずむ〜古きを知る、今を慈しみ、未来に繋ぐ〜」

H26.11.3(月)15:00〜 奥津温泉花美人の里

地元、移住、滞在など、さまざまな視点から奥津の魅力を語り、次の世代へ繋げるきっかけとした。

出演:大谷俊一、鈴木和枝(奥津荘女将)、星江美(版画家)
進行:森田恵子(フリーアナウンサー)

はじめに、慌ただしい制作活動に対して、真摯に向きあい接していただいた全ての関係者と、多くの体験や発見を与えてくれた、この「場所」に感謝いたします。

今回提示した「ヲクツポイント」は当たり前に存在している場所です。それらは地域から忘れられ本来の役目を果たせずに沈黙していました。姿を変え自ら消えようとする魅力は、時代のズレを呼び覚ます行為によって関わりを持ち続ければ、必ず蘇り新たに変化していきます。その動きを導き出すには、この地域を担う住民自身が歴史や風土を再認識し、故郷に自信を持つことが重要です。また、地域本来の魅力を引き出し、それらの要素で日常の営みを表現することが奥津のオリジン(根源)を紐解く第一歩になり、その本質と関わりを持つことで、この場所が大切だと感じる人材を育てていく働き掛けにもなります。そして、芸術分野に限らず、多種多様のアイディアを地域と連携して整え、この場所にしかない特質を拾い上げる活動の根本的な有意性や目的を、誠実に伝えることで新たな価値観を生み出す結び付きが得られると感じています。

大谷俊一

PROFILE

1965年東京都生まれ。1990〜個展、グループ展を含む様々な実験的制作活動から、近年は主に現地滞在型のプロジェクトを幅広い地域で実施している。

1999 / 2001 「島根プラン」/ 島根、2002 「祖父母の町…津山プラン2002」つやま芸術祭(つやまあーと大賞)/ 津山、

2006 / 2009「影(ei)来し方行く先」「奴奈川舎」越後妻有アートトリエンナーレ / 新潟、

2010-2011「Here / 淡水区中正路 298号」Art Renaissance in Tamsui / 台北、

 2012「亀甲庭」三隅神社社務所中庭プラン / 島根、

2013「Here / 金沢市片町2-2-5 Mar.4-15,2013」彫刻のコスモロジー / 石川

アート・ブリッヂ1301記録集 ART BRIDGE 1301 Archives

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アート・ブリッヂ1301

主催:岡山県、アート・ブリッヂ1301実行委員会 共催:真庭市文化芸術祭実行委員会

レジデンス事業共催:真庭市、真庭市教育委員会、鏡野町、鏡野町教育委員会、美作市、美作市教育委員会、

   勝央町、勝央町教育委員会

後援:山陽新聞社、朝日新聞岡山総局、毎日新聞岡山支局、読売新聞岡山支局、NHK岡山放送局、RSK山陽放送、

   KSB瀬戸内海放送、OHK岡山放送、RNC西日本放送、TSCテレビせとうち、エフエム岡山、テレビ津山、

   津山朝日新聞社、真庭タイムス

協力:開催地市町・市町教育委員会、おかやま県民文化祭実行委員会、NPO法人勝山・町並み委員会、作楽企画、

   (公財)真庭エスパス文化振興財団、十字屋迎賓館、岡野屋旅館プロジェクト、奥津温泉花美人の里、

   かがみのツーリズム研究会、山村エンタープライズ、アットタウン編集室・美作カルチャーカレッジ

助成:(公財)福武教育文化振興財団